otkoygのブログ

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ガンスリンガー・ガール

GUNSLINGER GIRL 8

GUNSLINGER GIRL 8

単行本8巻を遅ればせながら買った。このマンガはある意味ロリコン物であるが、シリアスなテーマを内包しており、夏目房之介さんも高く評価していたはず。巻を追うごとにヒロインの年齢設定が上がっており、それに反比例して人気が下がっているように見える。現在のヒロイン「ペトラ(=ペトルーシュカ)」は煙草を吸えるくらいの年齢。ペトルーシュカというのは、ストラビンスキーが1911年に作曲した同名のバレエ音楽に由来する。ヒロインは自殺未遂をしたロシアのバレリーナの少女の身体を元にしたサイボーグで、条件付けにより担当官の命令に絶対服従する。
その人形が担当官に愛を抱くようになる。ここまではいわばお約束である。ところが、「どうせ条件付けだ」と相手にしない担当官に対して突然感情を爆発させるシーンがあって圧倒された。「くそったれのアレッサンドロ!!」は歴史に残る名セリフだろう。
そう思ってGoogle検索したら3件しかヒットしなかった。情けないぞ。以前の巻を読み直したら、周到に伏線が張られていることに気付いた。いままでの話もすべて、こんどのクライマックスのための伏線であったといってよい。

魔法ビーンズ

誘惑料理―食べるエッセイ

誘惑料理―食べるエッセイ

この本に載っていたレシピ「魔法ビーンズ」に挑戦した。大豆と豚肉とトマトの煮物で、チリビーンズのようなものである。
調理に時間がかかると思われがちな大豆を、簡単に調理しているのが魅力のレシピである。教えてもらえばなんでもない。大豆(180ccカップ1杯)と熱湯を魔法ビンに入れ、数時間おくだけである。朝出かけるときに仕込めば、夜にはほぼ茹で上がっている。
フライパンでこの大豆と、トマト缶1缶と、豚挽肉100gを煮て、塩・コショウ・チリペッパーで味付けをして、汁気が飛んだら完成。

仁ちゃんいわく、ブルースとバーボンによく合う料理だという。ブルースは聴かないけどバーボンを飲むときのつまみによさそう。

手抜きうどん

魚柄レシピを引き写していれば、しばらくネタに困らない。……

「手抜きうどん」は1度目の挑戦では失敗。打ち粉をふらなかったので、うどんにならなかった。小麦粉の団子である。
2度目の挑戦では始めから割り切って、はじめから「すいとん」のつもりで作ったらうまくいった。ていうか、うどんじゃなくてすいとんであるが。

(一人分)
小麦粉80gに、食塩水30cc(水30ccに食塩2gを溶かす)を注いで捏ね、1時間常温で放置してグルテンの生成を待つ。これで歯ごたえがよくなる。
出汁は水200ccに、昆布5cm四方一枚、煮干し3匹(頭と内臓は除去)を煮て作る(沸騰したら除去する)。これに小麦粉の玉を、あめ玉くらいの大きさにちぎって入れる。ちぎるときにコシが生まれるらしい。
具として大根、人参の薄切りを入れる。茹で上がるのにはちょっと時間がかかる。10分くらい。最後にみりんと醤油を20ccくらいづつ入れて完成。

並木藪蕎麦の辛汁

江戸そば一筋―並木薮蕎麦そば遺文

江戸そば一筋―並木薮蕎麦そば遺文

「もり蕎麦を食うときは、蕎麦の先だけつゆをつけるのが正しい」と言います。しかし実際にやってみるとあんまり旨くないことが多いです。それはつゆが「軽い」せいなので、そういう場合はつゆをどっぷりつけて食べるのが正しいと言えます。ていうか、多くの場合がそうでしょう。
「蕎麦の風味が強ければ、つゆもそれに応じた強さが必要である」という思想で、東京一辛い蕎麦つゆを出している店が浅草の並木藪蕎麦です。好奇心で行ってみました。通はまず天ぷらを肴に冷や酒を一杯…とやるのでしょうが、こちらは素人なのでもり一枚だけ注文。有名な老舗ですが、大衆食堂みたいな気楽な雰囲気で、誰でも歓迎してくれます。
なかなかエキゾティックな体験ができました。ざるが裏返し(水切りをよくするため)、蕎麦は細くてコシが強い、量はかなり少ない。つゆは予想以上に辛く、これでは蕎麦をどっぷりつけたら食えないと納得しました。蕎麦を食い終わったら、つゆを蕎麦湯で5倍くらいに薄めて飲む。これが旨くて、徳利のつゆを全部飲んで腹を重たくしてしまいました。悪いことに、吾妻橋でビールをたらふく飲んだ帰りでした。
これがわたしの並木藪初体験でありました。このつゆの味を家で再現したいというわけで、上の本に載っているレシピをもとにやってみました。うまく出来たのですが、ひとつ問題が発生しました。この強いつゆに対抗できるだけの強い蕎麦は市場で販売されていません。したがって、並木藪の蕎麦が食べたければ浅草に足を運ぶしかないのです。

辛汁(蕎麦つゆ)のレシピ
1リットルの湯で鰹の厚削り節56gを90分煮詰めて3/7にし、430ccのだし汁を作る。また別に、ヤマサの本醸造しょうゆ360ccに砂糖47gを溶かして一週間冷蔵庫に保存したもの(かえし)を用意しておく。だし・かえし・みりん(72cc。銘柄は不明)を合わせ、80度に加熱し約8%煮詰める。この工程では素焼きのタンポを使いたい。タンポにザルをかぶせ、一日放置して完成。
(冷蔵保存で2週間はおいしく使えます)

カレー店めぐり

川島隆太先生が(『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』で)「外食をする人は週に一店は新しいお店を開拓しましょう」とのたまっていたので、実行してみたらけっこういい気分転換になることがわかりました。定食チェーン(大戸屋やよい軒)に入って中ジョッキと定食を頼むと、軽く千円を超えますけど。老舗にも行きましたよ。東京一辛い蕎麦つゆで有名な並木藪とか。もり一枚(600円)だけ食べて出てくるというせこい客でしたが(ふつうもり二枚は頼むものらしい)。ここのつゆはほとんど醤油そのままみたいな濃さで、そばの先にちょっとだけつけて食べるのがちょうどいいくらい。このつゆの作り方は公表されているので、あとで書きます。

カレー店をいくつか訪ねたのでその話を。参考になったのは小野員裕さんの本『週末はカレー日和』でした。この人は出版社につとめる営業職のいちサラリーマンでありながら、「横濱カレーミュージアム」(2007年3月に閉館)の名誉館長をつとめた人。子供のときから家族の食事を作っていたそうで、食に対する年期が入っている。

デリー新川店。カシミールカレーを食す。甘口がデリーカレー、中辛がインドカレー、辛口がカシミールカレーである(スーパーマーケットなどで同店のカレーソースが購入できるのでおためしあれ)。辛いことを覚悟して食べたけれど、おいしく食べられました。卓上に挽き肉状のチーズが用意され、これで辛さを緩和して、ゆっくりいただきました。

古奈屋日本橋コレド店。カレー通も認めるカレーうどんの店。ごぼうのささがきがどっさり入っていた。食感は悪くないが、いささか単調。スープはトマト・牛乳・唐辛子による本格的インドカレーの味。うどんはコシがなくて物足りなかった。本店は巣鴨にあり、おばちゃんの原宿とか呼ばれている。年輩の客層にむけた味。

カレー激戦区神保町の有名店、エチオピア。とっつきにくい先入観があったが、とても印象がよかった。店員さんの物腰の柔らかさとサービス内容がピカイチ。カウンター席は、足が窮屈ではあった。スーツ姿のサラリーマンが多かった。辛さは0〜70倍が指定できて、野菜カレー10倍を注文、辛くて後悔した。デザートのチョコレートアイスクリームでやっと舌を癒した。930円。しゃがれた声でごちそうさまを言い、店を出た。舌のしびれは20分続いた。

新宿中村屋2F喫茶室ルパ。日本のカレー史に名を刻む名店である。ここではカレーではなく、カリーと呼ぶ。注文するとき、うっかり「インドカレー」と言ったら通じてしまったけど。店員さんが気をきかせてくれたらしい。専用養鶏場で育てたというチキンはひと味違う。ごはんはふつうの米で、白目米じゃなかったけど。白目米がセールスポイントの筈では? カリーソースの味は特筆すべきもので、バター・トマト・ヨーグルトのコクが五臓六腑にしみわたりました。健康と懐には悪いがうまいのは確か。1470円。「新宿中村屋のカリーペースト」というのが市販されていて、これを使うとお店の味が家庭で再現できるはず。新宿中村屋のブランドのレトルトは何種類も出ているが、ココナッツスパイシーはいい出来。

浅草・夢屋。週末の早い時間に行ったらほかに客は1人。ご主人と奥さんがいて、奥さんにチキンカリー辛口(4段階で、上から2番目の辛さ)を注文。880円。
カレーソースがサラサラしたライスにすっと染みこむ。平べったい皿の意義はこういうところにあると知った!(さっそく買った) クミンシードやクローブのホールを思いっきり焦がしていて、こういう風に調理してもいいのだと知った(失敗だったのか? よくわかりません)。舌のしびれは10分続いた。チキンは、やたらに柔らかかった。これは好みから外れる。

魚柄の料理帖

魚柄の料理帖―人生、楽しく食べること (光文社文庫)

魚柄の料理帖―人生、楽しく食べること (光文社文庫)

たけくまさんのブログに、自炊についてのエントリーがあって、そこのコメントでこの人の名前を初めて目にしました。それっきり忘れていましたが、先日たまたま図書館で『ひと月9000円の快適食生活』というふざけたタイトルの本を見かけ、冷やかしに開いてみたら意外に読ませる文章だったので、思わず半時ばかり読んでしまいました。その著者が魚柄(うおつか)氏だったというわけです。
ペンネームはウォッカとジンに由来すると知り、このユーモア感覚だけですべて許せるという気持ちになりました。北九州出身で、博多弁をもとにした人なつこい文章を書く人。わたしは日ごろ、5W1Hを満たすだけの無味乾燥な文章ではダメだと痛感していたので、いい師匠にめぐりあえた気がしました。Wikipediaには5W1Hさえ満たせない書き手が多いですが。
数多い著書がある魚柄氏ですが、上の本がもっとも読みやすいと思います。大藪春彦文体模写とか、遊び心満開で。ほかの著書で散見されるエコロジー説教的なうっとうしいところもありません。

魚柄氏のお得意料理、トンコマキャベツ(2人分)のレシピを紹介。

100gの豚肉コマ切れに塩5gまぶしてもみ込み、酒30ccをかけ、片栗粉10gをまぶす。熱した中華鍋にサラダ油15ccとおろしニンニク一かけ分を入れ、ザク切りキャベツ200gを入れて炒める。シンナリしたら、トンコマをほぐしてのせ、酒を30ccかけてフタをする。30秒たったら、フタを取り火を強めて木べらでかき回す。水気が飛んだら、火を消してしょうゆ・塩・コショウで味をととのえてできあがり。

大日本人

公式サイト→http://www.dainipponjin.com/
これはすばらしく変な映画でした。前に押井守監督の『立喰師列伝』について書きましたが、それよりも禿げしく変です。スペクタクルシーン(つまり巨大モンスター同士がバトルするCG)が始まるまではかなり退屈しましたが、六回くらい戦ったのかな? それで元はとれました。というか、こんな変な映画を見せてもらう経験ができて、感謝。
2ちゃんの該当スレを読んだら、名だたる映画評論家たちがブログで「だめぽ…」とか、ぶつぶつつぶやいているらしい。ゴダールの『勝手にしやがれ』も批評家に酷評されたそうだし、新しい映画であることのひとつの証左かもしれないです。
ウェブ系の二大批評家? 前田さん(超映画批評)と服部さん(映画瓦版)は、前田さんが酷評で服部さんが○印。前田さんが酷評するのは、見方によっては日本を自虐的に風刺したり、アメリカをコケにしている部分があるからかもしれない。服部さんは、まるで松本人志の自画像のようでリアルだ、と評価していらっしゃいました。