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並木藪蕎麦の辛汁

江戸そば一筋―並木薮蕎麦そば遺文

江戸そば一筋―並木薮蕎麦そば遺文

「もり蕎麦を食うときは、蕎麦の先だけつゆをつけるのが正しい」と言います。しかし実際にやってみるとあんまり旨くないことが多いです。それはつゆが「軽い」せいなので、そういう場合はつゆをどっぷりつけて食べるのが正しいと言えます。ていうか、多くの場合がそうでしょう。
「蕎麦の風味が強ければ、つゆもそれに応じた強さが必要である」という思想で、東京一辛い蕎麦つゆを出している店が浅草の並木藪蕎麦です。好奇心で行ってみました。通はまず天ぷらを肴に冷や酒を一杯…とやるのでしょうが、こちらは素人なのでもり一枚だけ注文。有名な老舗ですが、大衆食堂みたいな気楽な雰囲気で、誰でも歓迎してくれます。
なかなかエキゾティックな体験ができました。ざるが裏返し(水切りをよくするため)、蕎麦は細くてコシが強い、量はかなり少ない。つゆは予想以上に辛く、これでは蕎麦をどっぷりつけたら食えないと納得しました。蕎麦を食い終わったら、つゆを蕎麦湯で5倍くらいに薄めて飲む。これが旨くて、徳利のつゆを全部飲んで腹を重たくしてしまいました。悪いことに、吾妻橋でビールをたらふく飲んだ帰りでした。
これがわたしの並木藪初体験でありました。このつゆの味を家で再現したいというわけで、上の本に載っているレシピをもとにやってみました。うまく出来たのですが、ひとつ問題が発生しました。この強いつゆに対抗できるだけの強い蕎麦は市場で販売されていません。したがって、並木藪の蕎麦が食べたければ浅草に足を運ぶしかないのです。

辛汁(蕎麦つゆ)のレシピ
1リットルの湯で鰹の厚削り節56gを90分煮詰めて3/7にし、430ccのだし汁を作る。また別に、ヤマサの本醸造しょうゆ360ccに砂糖47gを溶かして一週間冷蔵庫に保存したもの(かえし)を用意しておく。だし・かえし・みりん(72cc。銘柄は不明)を合わせ、80度に加熱し約8%煮詰める。この工程では素焼きのタンポを使いたい。タンポにザルをかぶせ、一日放置して完成。
(冷蔵保存で2週間はおいしく使えます)