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立喰師列伝

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変な映画を「これでもか」とばかりにしつこく見せられた感じ。後悔はしていない。変な映画ということは知っていたし、変わった経験ができたからである。そういう意味ではたいへん満足した。
日本には偉大な映画監督が何人かいて、押井守もそのひとりである。1990年代以降はシリアスな作品が多いけど、かつてはテレビアニメ業界のメインストリームにいて、「うる星やつら」などのチーフディレクターをつとめていた。その監督がひさしぶりに真剣に冗談映画を作った。これのおかげで、押井という山に登るとっかかりができたような気がする。わたしは「アヴァロン」(2001)以降の押井ファンなので、それ以前の作品がいまだによくわからないのだ。映画とOVAにはだいたい目を通したけど、テレビアニメにまではちょっと手が回らない。


しつこいと感じたのは山ちゃん(山寺宏一)のナレーションで、映像のほうは逆に淡泊だった(というより動かなすぎ)。最近の映画供給サイドには、「客にはとりあえず大盛りを出して満腹させとけ。どうせ味なんかわかりゃしねえから」っていう横着な態度を感じる。「マトリックス リローデッド」(2003)は、過剰な映像にうんざりさせられた最初だったかも。「キング・コング」(2005)の首長竜が組んずほぐれつする映像も過剰だった。こっちのほうは多少はましだと思ったが…。
いまの映画はたぶん、良し悪し以前に過剰さが必要なのだろう。低予算のために映像でそれができなかったので、かわりにナレーションでやったというのが、今回の押井監督の野心だったかもしれない。