otkoygのブログ

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燃ゆるとき

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中井貴一主演、1990年代にアメリカに進出した、日本のカップめん会社の物語。
語り口がなめらかで、すんなり鑑賞できて、後味がよかった。これは高く評価できる点である。
中井は原材料を調達する資材課の責任者として、アメリカ工場に赴任する。だが、現場でじっさいに資材課の仕事をこなしていたのは、現地採用のヒスパニック系の女性だった。彼女は管理職登用を願っていたが、かなえられなかった。そこに工場を安く買い叩こうとする投資会社がつけ込む。そしてでっちあげのセクハラ事件が発生する。
映画瓦版の服部さんは、中井貴一が演じる「誠心誠意の真面目な男」は嘘にならなくていいと書いておられた。だがわたしは、「しゃべり場」か「青年の主張」かっていう、恥ずかしい気分がまさってしまった。基本的にひねくれ者なのである。演技や演出のレベルは、高いと思う。
上映のタイミングは、数ヶ月遅かった。耐震強度偽装マンションの事件をきっかけに、(英米に遅れること20年のネオリベ小泉政権がゆらいでいる。それ以前の上映だったら、もっと古き良き日本を懐古する気分が強くかきたてられたはずで、惜しかった。


追記
2ちゃんねるの該当スレッドを見たら、「フランク・キャプラの日本版。実話を元にしたおとぎ話で、中井貴一=和製ジェームス・スチュワート」と指摘した20代女性がいて、喝采をうけていた。こういう玉のような書き込みが、ときどき石の中から見つかるのが2ちゃんである。てか負けた。