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ミュンヘン

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文學界」連載中の阿部和重×中原昌也の映画批評は、毎月読むのが楽しみである。今月はスピルバーグ監督の「ミュンヘン」がお題で、特別ゲストに蓮実重彦青山真治のふたりを招いての4人座談会だった。これを読んだ翌日、映画を見に行った。


いま雑誌が手元にないので、記憶で引用すれば──。
スパイ映画を頑張って撮ろうとした作品である……。イーストウッドとシンクロするように荒んでいる……。ハワード・ホークスジョン・フォードも最後の作品が荒んでいる……。50年代の映画の荒み具合を思わせる……。自分の会社を身売りする結果になるまで、おのれの存在を掛けて荒んでいる姿が壮絶だ……。破滅型からいちばん遠いように思われたのに、じつは破滅型だった……。


井筒和幸監督が新作映画を斬る人気番組で、さっそくとりあげてけなしたそうだ。これ、たまたま録画していたので早送りで見たら、しごくまっとうな怒りだった。
……
お前ら、この話で感動したとか、泣けるとか言って、アホと違うか。いまでもイスラエルパレスチナのあいだで、何人も殺され続けてるんや。これは現実にあった人殺しの話やで。こんなもん楽しめるか。日本のヤクザでも、7人もよう殺せん。
……
それくらいシリアスな映画、というか疑似ドキュメンタリー。井筒監督は、ちゃんとこの映画を理解していた。