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イーストウッド2

前のエントリーを書いてからイーストウッドの映画を13本見た。ツタヤの半額レンタルを利用してDVDで。西部劇って面白いわ。「トイ・ストーリー」のカウボーイ人形、思えばあれはイーストウッドだった。「カウボーイビバップ」も、渡辺信一郎監督は本気で西部劇がやりたかったのだと理解できた。つぎの作品(『サムライチャンプルー』)が時代劇だというのも#22で予告されていたのだが、冗談としか思えなかった。時代劇と西部劇は似ている。「用心棒」はマカロニ・ウェスタンにヒントを与えたし、黒沢明は西部劇の監督、ジョン・フォードを尊敬していた。
気に入った作品をいくつか。


「荒野のストレンジャー」(72)
主人公が喋るまで7分20秒。それまでセリフがほとんどない。緊張感あふれる流れ者の登場ぶりだ。主人公はぶっそうな町の用心棒を頼まれるが、「何でも自分の言うことを聞くこと」を条件にする。有力者たちはそれを受け入れる。すると主人公は町で傍若無人をやりはじめる。酒場で「俺のおごりだ」と言っておおぜいに酒をふるまったり、雑貨屋で貧乏人に毛布や布団をほどこして、「文句ないな」と店主と有力者に念を押したり。これは意識的なギャグだ。頭いいわ〜、脚本家もイーストウッドも。ある意味アッパー系の映画。


「ブロンコ・ビリー」(80)
古き良きウェスタンショー(サーカスみたいなもの)を各地で上演して回っている、貧乏なドサ回りの劇団の団長を演じる。団員が何か不満そうな顔なのを見て、「言いたいことがあるんなら言っちまえよ」と言うが、いざ言えば殴りかかってしまうという、単純直情、しかし結局は慕われる座長という役。アメリカの庶民のための人情喜劇。ヨーロッパの低予算文芸映画みたいな、ある意味上品ささえ備える、好感がもてる1本だった。


「ダーティーファイター」(78)
これも「ブロンコ・ビリー」と同系列。退屈なアメリカの田舎町で、路上ファイトをして生活している兄ちゃんを演じる。ドジな中年暴走族たちをからかったり、愛人のソンドラ・ロックが演じる流しの歌手を追いかけたり。みんな昼間からビールばかり飲んでお気楽。これが本来のイーストウッドの持ち味なんだと思う。無口なアウトロー像も好きだけど。ただしこの続編にはあまり感心しなかった。