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マザー・テレサ

公式サイト
インドの風景が見たい気分だったので鑑賞した。ほんとは「踊るマハラジャ」みたいな映画が見たかった。
それなりの感動作だとは思っていたけど、映画館の入り口で本物のシスターたちが帰るところに遭遇して、いやな予感がした。つまり、カトリック教会に政治利用される可能性をはらんだ映画であった。しかし、映画そのものは、カトリック教会という組織の官僚主義や旧弊さを批判するような内容を、しっかりと記録していた。
街頭募金活動などを見るのが大嫌いである。助けてほしいのはこっちのほうであって、幸福度は日本人の標準以下だろうし、将来の展望もないのだ。しかし、もしマザー・テレサみたいな人が同時代に生きていたら、それだけで救われた気分になったにちがいない。意外に長命した彼女の没年は、1997年である。なぜか彼女の死の報道を、わたしは記憶していない。


マザー・テレサは数百年にひとり生まれる奇人のひとりである。スケールは小ぶりになるかも知れないけど、似たような奇人が日本にも存在する。女優の宮城まり子である。「障害児の個性と可能性を十分に引き出すための施設」、ねむの木学園を1968年に開園した。そして近年、高齢者を対象にした「ねむの木村」をスタートさせた。ねむの木学園の生徒が描いた画集(「としみつ (講談社文庫 み 5-3)」)を高校生のとき買って、いまでも持っている。その芸術性はみごとなものである。


映画にはなんとなく既視感があり、10年くらい前にテレビで彼女の伝記ドラマ(ドキュメンタリーではなく)を見たような気がしたのだが、ネットで調べてもわからなかった。
マザー・テレサは、とても運がいい人であり、それゆえに偉大な存在になったといえる。司馬遼太郎作品で言うと、豊臣秀吉東郷平八郎に似ている。困難が立ちふさがっても、つぎの瞬間にはあっさり解決してしまうのだ。奇跡といえばそれまでだが、どこから演出でどこまで真実なのか、どうも気になってしまう。伝記を読みたくなった。