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アニメガイド1

個人的に感心している本を2冊紹介する。万人にはすすめられない。富野由悠季押井守に少しでも興味がある人だけに。この本を編んだ編集者の功績はもちろん評価されるべきだが、素材を選んだ時点ですでに成功が約束されたと言えなくもない。つまり、この2人は語らせたらいくらでも語るアニメ界きっての、片や警世家、片やウンチク屋なのである。そのエネルギーはまったく常人離れしている。そんな2人が、自分の歴史・自分の作品についてぞんぶんに語り倒したおそるべき本。


富野由悠季全仕事―1964-1999 (キネ旬ムック)

富野由悠季全仕事―1964-1999 (キネ旬ムック)

富野由悠季は1964年に「鉄腕アトム」第96話で演出デビューした、アニメ界の最古参のひとりである。この本は、富野への全7章におよぶロングインタビューも圧巻だが、安彦良和高橋良輔杉井ギサブロー山賀博之すぎやまこういち前田真宏など14人におよぶインタビューも読み応えがある。さらに関係者68人がコメントを寄せている。富野との対談相手に選ばれたのは、「ガンダムの子供」ともいえる本広克之(「踊る大捜査線」)、福井晴敏(「ローレライ」)。巻末の資料では、富野が「母をたずねて三千里」「あらいぐまラスカル」「赤毛のアン」などに絵コンテで参加した話数が確認できる。


押井守は1977年に「一発寛太くん」で演出デビュー。81年「うる星やつらチーフディレクター。作品ごとに見開きで、監督本人が当時の楽屋裏を語るという体裁で、すいすい読めて監督にも親しみがわいてくるのだが、じっさいにちゃんと見た作品が少ないことに気づいた。快楽原則に則ってスカッとさせるという作り方をしないので、見たけどわかった気がしない作品も多い。カラーグラビアを眺めていると、実写作品の『赤い眼鏡』(86)、『ケルベロス・地獄の番犬』(91)はヒロインの愛らしさ目的で見てみようという気にさせるが…。


今回の書籍情報は画像がなくて残念。