イノセンス

イノセンス スタンダード版 [DVD]

去年、試写会の券が当たって見たときは地味だなぁ〜という感想を抱いたんですよ。でも上映期間中、さらに２回もお金を払って見てしまいました。通のあいだで持ち上げられている押井守という監督を、心から理解できたと思ったのはこの作品が初めてでした。

「ロジックはいい線行くんだけど、感情のベースが旧態依然たるラブロマンス、ハードボイルドに根ざしているからなあ」（「M2」宮崎哲弥、「サイゾー」誌・2005.7）

「ハードボイルドは男のハーレクイン・ロマンス」と書いているブロガーがいました。これに噛みつかせてもらうとすれば、「ハードボイルド」に異性（女性）はほとんど関係なくて、語りの技術・様式がすべてなのです。ヘミングウェイ・ハメット・バロウズというハードボイルド文学の系譜…。かれらはけっして非感情的な人間ではなくて、ただ感情を直接書き表すことを潔しとしなかっただけです。かれらが「間接的」に表現しようとしたことが、センチメンタリズムだったかもしれないことは否定しませんが…。

押井守の脚本・映像に比して、川井憲次の音楽についてあまり言及されないので、ここで持ち上げておきます。
映像と音楽の比重は半々とは、押井守の弁。「アヴァロン」のサントラもよかったし、TVアニメ『吸血姫美夕』もよかった…。

イノセンス オリジナル・サウンドトラック

アヴァロン ― オリジナル・サウンドトラック

吸血姫美夕 ― オリジナル・サウンドトラック