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富野由悠季について

1979年に放送されたTVアニメ『機動戦士ガンダム』は社会現象といわれるほど大ヒットしました。しかし作者の富野由悠季はその後あまりパッとしなかった──。しかし庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』(95-97)以後、富野監督の再評価が始まりました。富野監督自身も、『エヴァ』への対抗心からか、それまでの暗い作風から一転して、明るいアニメを意識して作るようになりました(『ブレンパワード』(98)、『∀ガンダム』(99-00)、『キングゲイナー』(02)など)。


わたしは仕事の関係で、ここ数年、富野関係の本をよく買いました。
順にコメントしていきます。

巻末に14頁もあるファーストガンダム・キャラ人名辞典がついていて壮観です。富野が、すぐ死ぬような端役の一人一人にまで、いちいち名前と設定を決めずにはすまなかったという、難儀な性格の人であることがわかります。


2002年WOWOWで放送された『キングゲイナー』は、シベリアが舞台という設定も意表をつきましたが、じつによく動いて元気のいいアニメ作品でした。この本で富野監督は、シベリア取材旅行で見た、若い白系ロシア人女性たちの無防備なセクシーさについて考察します。寒冷地に住んでいる女の子たちは、いつも男女のつながりを想定した濡れた人間関係のなかに生きている。それが柔らかい態度として表れるのだ…。思想家・富野由悠季の片鱗がうかがえる本。


戦争と平和 (アニメージュ叢書)

戦争と平和 (アニメージュ叢書)

9・11をきっかけに、辣腕編集者にして評論家・作家の大塚英志が企画発案した本。その大塚と、弟子のササキバラ・ゴウ、そして哲学者の上野俊哉の3人が束になってトミノに挑んだ…。しかしけっきょく歯が立なかったという、一読の価値がある本。


続く