『大いなる休暇』

公式サイト
http://www.crest-inter.co.jp/oinarukyuka/
これは大当たり！　かつて漁業で栄えたけど、過疎のため人口がたった120人に減ってしまったカナダ東海岸の小さな島が舞台。町長らは工場を誘致して町を再生しようとするが、医者がいないとダメと言われている。そこで町長以下は一体となって、都会からむりやり連れてきた若い医者に定着してもらおうとして、彼の前で虚偽粉飾の限りをつくして町の魅力を演出しつづける。そのドタバタぶりが笑わせる喜劇映画。ラストで、もろもろの虚偽がばれて傷ついた医者を前にして、良心が痛んだ町長はもうこんなことはやめようと決心する。そのときの演説が泣かせる。
真実を話そう。この島の真実とは、８年にわたる生活保護・誇りの喪失・貧困・医者の不在だ。そしてわれわれに医者が必要ということだ。
映画が悲惨なリアリズムに踏み込もうとする寸前に、ハッピーエンドに転換した手際があざやかである。『ミリオンダラー・ベイビー』より上質な映画だと思う。