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失踪日記

失踪日記

失踪日記

1969年にデビューしたマンガ家、吾妻ひでおの最新単行本にして初のベストセラー。吾妻はマンガ史に名を刻む歴史的なSFギャグマンガ家であるが、実話マンガというジャンルではじめて数万部のヒットを飛ばした。
わたしはマンガを習慣的に読み始めるのが遅かったので(1980年〜)、すでに商業的に成功していた高橋留美子と、吾妻色が強かった初期のとり・みきを先に知っていた。吾妻はメジャー少年誌から撤退して、エロ雑誌などのマイナー誌に移行していたころ。なので、高橋・とりのルーツという気持ちで吾妻マンガを読み始めた。
わたしが吾妻作品でいちばん好きなのは『スクラップ学園』(80-83)だが、主人公の女子高生ミャアちゃんがカミナリサマの格好をする回があって(『うる星やつら』のラムそっくりになった)、高校生当時のわたしはこういうサービスがもっと多ければいいのにと思ったことがある。吾妻の創作の目標は、筒井康隆的な破壊と混乱を描くことだった。ロリとか美少女とかはおまけだ。もちろんそういう絵にも魅力はあったが、高橋などと比較して、圧倒的に上手かったという印象はない…。
Wikipediaの記述が異常に凝っているのでリンクしておく。


路上生活については、それほど衝撃的とは思わない。仕事をほっぽり出して逃げたくなることは誰にでもある。吾妻はそれを実行しただけである。福祉を切り捨てつつある日本では、こういう生活は将来だれにでも起こりうることだと予想する。
昼間から飲酒することは、この本を読んでから自制するようにした。さすがに本当のアル中になるのはこわい…。


とり・みきがホストをつとめた対談集。吾妻の1回目の路上生活の話が読める。