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とんかつについて

Wikipediaの『豚カツ』の項の編集・執筆者で、ノート(編集・執筆者の議論用のページ)で喧々諤々の議論を続けています(後記・時間が経ってから見に行ったら、当時の議論は倉庫に隠されてしまいました)。みなさんはとんかつ屋さんに入ったことはありますか? なくても「とんかつ」の看板はあちこちで見かけると思います。なのにWikipediaの項目名は「豚カツ」です。明治時代かよ。

とんかつの発祥は昭和4年御徒町の「ポンチ軒」(戦災で失われた)という説が広く知られていますが、この店はじつは、いまも残る「ぽん多本家」だったという説があります。この説は小菅桂子さんが、著書『にっぽん洋食物語大全 (講談社+α文庫)』でほのめかしていた説です。読んだときはそんなバカなと思いましたが、しかし時間がたって、ひらがなに「変体仮名」というものが存在することを知りました。

「た」の音を表記するのに、漢字の「太」に由来する「た」と、「多」に由来する「多(フォントのコードがないので代用)」があったのです(2012年に火事を出した「かんだ藪そば」の「だ」も、「多」に由来するものでした)。

「ぽん多(た)」という看板は、そそっかしい人が読めば「ぽんち」に見えたかも。当時は文盲の人も少なくなかった。また「ぽんち」という名前は座りが悪いので、食い物屋らしくと勝手に「軒」をつける人がいて「ポンチ軒」という架空の名前が生まれ(じつは「ぽん多」)、それが落語に取り上げられて有名になり、広まってしまったと想像します。(2019.3.24大幅に編集)

とんかつの誕生―明治洋食事始め (講談社選書メチエ)

とんかつの誕生―明治洋食事始め (講談社選書メチエ)

にっぽん洋食物語大全 (講談社+α文庫)

にっぽん洋食物語大全 (講談社+α文庫)